
謎10「ともだちBの正体は誰か!?」
ともだちB(フクベエ死後に活発に行動する“ともだち”)は誰か──これは本作に数多くある謎のうち最も重要なものである。ここではこの謎を解こう。
ともだちBはフクベエの仲間
私は、謎9で、〔少年期のともだちBは、バッヂ反陽子仮面の姿で登場している〕と述べた。ともだちBがバッヂ反陽子仮面だということは、ともだちBのことばを追求していくことによっても知ることができる。22巻第12話223ページで、ともだちBは言う。
「僕はフクベエのこと、よーく知ってるんだ。ずーっとそばにいたから、自分のことのようにね。」
このことばからわかるように、ともだちBはフクベエの仲間である。
少年期のフクベエ=ともだちAの仲間は次の三人である。
ヤマネ。ヤマネはフクベエ=ともだちAとよく一緒にいる。
だが、ヤマネはともだちAを殺し、その後、ともだちAの部下に射殺された。ともだちBはその後に活発に行動する。よって、ヤマネはともだちBではない。
サダキヨA(サダキヨ本人)。サダキヨAはフクベエと一緒にいることがよくある。
だが、22巻第13話によれば、サダキヨAは、ともだちBが空飛ぶ円盤のコントローラーを押そうとした時に、ともだちBを後から捕らえている。よって、サダキヨAはともだちBと同一人物ではない。
バッヂ反陽子仮面。『21世紀少年』上巻第2話に描かれているように、バッヂ反陽子仮面はフクベエ、ヤマネと一緒にいて話をしているから、フクベエの仲間だと言える。
ともだちBはフクベエの仲間だが、それは上記のように、ヤマネ、サダキヨA、バッヂ反陽子仮面に限られる。ともだちBはこれら三人のうちの誰かである。
そして、上に説明したように、ヤマネ、サダキヨAはともだちBではない。
となれば、ともだちBは〔ヤマネ、サダキヨAに次いで、フクベエとよく一緒にいる人〕だということになる。それはバッヂ反陽子仮面である。よって、
ともだちBはバッヂ反陽子仮面だ
と判断できる。
ともだちB=バッヂ反陽子仮面はカツマタ
ともだちB=バッヂ反陽子仮面の正体は誰か。
ともだちB=バッヂ反陽子仮面はフクベエの仲間だが、バッヂ反陽子仮面がフクベエと二人きりで一緒にいる場面はない。このことからすると、バッヂ反陽子仮面とフクベエは元来は直接の友人ではなかったと考えられる。
バッヂ反陽子仮面がフクベエ自身の直接の友人でないとなれば、
フクベエの子分サダキヨAと親しい人物か、
または、
フクベエの友人たるヤマネと親しい人物か、
そのどちらかだということになる。
サダキヨAと親しい人物について見ていこう。
フクベエは、一応、サダキヨAと親しい。だが、ともだちBはフクベエが死んだ後に活発に行動する人物だから、フクベエと同一人物ではない。
フクベエ以外でサダキヨAと親しいのは、謎8に述べたように、バッヂ反陽子仮面だけである。だが、今は、そのバッヂ反陽子仮面の正体を探っているのだから、今の問題についてはこのことは参考にならない。
では、ヤマネの友人はどうか。
ヤマネには仲の良い友人がいる。カツマタである。
カツマタについては、同じ学年の小学生たちの間で、「カツマタってどんな奴だっけ? 俺、よく知らない……」「とにかく、フナの解剖やりたかったのに、その前の日に死んじゃって……」(14巻第6話)という噂が立っている。
さらに、11巻第12話では、大福堂製薬の細菌研究所所長戸倉のことばには、ヤマネのことばが次のように引用されている(「彼」とはヤマネのことである)。
「小学校の時、仲の良かったコが死んだんだって…… そのコは理科が大好きな子でね。解剖実験を楽しみにしてたのに、その前日に死んじゃったんだって。でも、彼は寂しくなかったんだ…… 夜ごと学校に忍びこんでは……その仲の良かったコの幽霊と、実験を繰り返していたんだって。理科室で……」
戸倉はカツマタの名を出していないが、「(ヤマネと)仲の良かった」「理科が大好きな子」で、「解剖実験を楽しみにしてたのにその前日に死んじゃった」のは、上に記した小学生たちの話の内容からして、カツマタである。
よって、
ヤマネはカツマタと仲が良かった
とわかる。
ヤマネと仲の良いカツマタなら、フクベエが〔友達の友達〕として、仲間に入れても不思議はない。カツマタならフクベエと一緒にいても不思議はない。
ともだちBはカツマタ
まとめよう。
ともだちB=バッヂ反陽子仮面はフクベエと行動をともにしている。
そして、フクベエと行動をともにして当然だと言える人物は、ヤマネ、サダキヨA、カツマタだけである。
したがって、ともだちB=バッヂ反陽子仮面は、ヤマネ、サダキヨA、カツマタのうちの誰かである。
これら三人のうち、ヤマネがともだちBでないことは先に述べた。サダキヨAがともだちBでないことも先に述べた。よって、次の結論が得られる。
ともだちB=バッヂ反陽子仮面はカツマタである。
〔顔〕についての謎が残る
こうして、ともだちBがカツマタであることがわかった。だが、ともだちBの〔顔〕について大きな問題が残る。
上巻第1話によれば、ともだちBの仮面がはずされると、現れた顔はフクベエそっくりだった。ともだちBの顔はカツマタの顔でなくてはならないのに、フクベエそっくりだったのである。これは一体なぜなのだろうか。
また、〔顔〕について論じるなら、のっぺらぼうや、〔サダキヨそっくりの少年〕についても述べる必要がある。
これらのことについては、謎11以下で述べていこう。

|