
謎15「なぜ鏡に映る顔が のっぺらぼうになるのか!?」
本作では、“鏡などに映る顔がのっぺらぼうになる”という場面が数回描かれる。鏡に映る顔が他のものに変わるということはありえないことである。なのに、なぜ、鏡に映る顔がのっぺらぼうになるのか。(私がここで問題にしているのは、〔鏡には自分の顔が映るはずなのに、別のものが映るのはなぜか〕ということである。映るものが「のっぺらぼう」である理由については、読者各位の主観によって種々の答がありうるので、ここでは論じない。)
フクベエは鏡などに映るのっぺらぼうを二度見た
〔鏡などに映るフクベエの顔がのっぺらぼうだった〕ということは二度あった。
一度目。フクベエはサダキヨAから強引に仮面を借りた。その仮面をはずした時、フクベエはガラス戸に映る自分の顔がのっぺらぼうになっているのを見た(16巻第2話)。
二度目。フクベエはサダキヨBと一緒に首吊り坂屋敷に行ったが、その時、階段下の鏡に映る自分の顔がのっぺらぼうになっているのを見た(16巻第3話)。
ケンヂは二度のっぺらぼうを見た
ケンヂは二度のっぺらぼうを見た。
一度目。ケンヂとオッチョは首吊り坂屋敷の階段でテルテル坊主を見た後、二階に行く。サダキヨBは二階に隠れていたが、フクベエが二階に上がり、サダキヨBを階段の中ほどに降ろす。やがて、「ギャアアア!!」という悲鳴。ケンヂとオッチョがドダダダと階段をおりながら「で…… 出たあ!!」と叫ぶ。そして、「本物の幽霊見た!!」とヨシツネに言う(16巻第5話)。
これを草陰で聞いていたフクベエは自分もその「本物の幽霊」を見ようとして、サダキヨBと一緒に首吊り坂屋敷の二階に行く。フクベエは幽霊を見ようと懸命に探すが、見えない。その時、サダキヨBが、鏡を見て、「うわあ!!」と悲鳴をあげる。フクベエは「どうしたんだ、サダキヨ!!」と振り向いて聞く。サダキヨBは「のっぺらぼうだあ〜〜〜〜〜〜〜〜」と叫んで逃げて行く(16巻第5話)。このことから、ケンヂとオッチョが見た「本物の幽霊」は鏡に映ったのっぺらぼうだと判断できる。
二度目。ケンヂは反陽子爆弾のありかを求めてヴァーチャルアトラクション(VA)に入る。そしてケンヂは、ナショナルキッドの仮面をつけた少年に「おまえ、"反陽子ばくだん"て知ってるか?」などと聞く。仮面の少年はその問には答えず、バッと仮面をはずす。その瞬間、少年の顔はのっぺらぼうに変わった。ケンヂは のっぺらぼうを見て、腰を抜かして驚く(下巻第1話)。
本作では、のっぺらぼうを見た人は他にもいるが、二度も見たのはフクベエとケンヂだけである。そして、フクベエもケンヂものっぺらぼうを見て驚いたから、自分の意志でのっぺらぼうを出現させたのではない。
のっぺらぼうを出現させた人物を決める条件
よって、のっぺらぼうを出現させた人物は、
フクベエに関係深く、
ケンヂに関係深く、
のっぺらぼうそのものにも関係深い、
という三つの条件を満たす人物である。
これらの条件から、のっぺらぼうを出現させた人物を探求しよう。
サダキヨBはフクベエとケンヂと のっぺらぼうに関係深い
フクベエとケンヂとのっぺらぼうに関係深い人物は誰か。
サダキヨB=カツマタ=ともだちBである(謎12に述べたようにサダキヨBの正体はカツマタであり、謎10に述べたようにカツマタはともだちBと同一人物である)。
サダキヨB=カツマタ=ともだちBは、フクベエ=ともだちAの死後、フクベエの後継者になり、フクベエの意志を継いで、世界を滅亡させようとする。サダキヨB=カツマタ=ともだちBはフクベエに関係深い。
サダキヨB=カツマタ=ともだちBは世界を滅亡させようとするが、ケンヂはこれを阻止しようと命がけで戦う。サダキヨB=カツマタ=ともだちBはケンヂに関係深い。
そして、サダキヨBはのっぺらぼうの出現に深く関係している。そのことは謎12に述べたが、再述しよう。
フクベエはガラス戸に映った自分の顔がのっぺらぼうになったのを見た(16巻第2話)が、この後、フクベエが初めて顔を合わせた人物はサダキヨBである(16巻第3話)。
この後、フクベエは、サダキヨBから、首吊り坂屋敷の幽霊のことを聞き、サダキヨBと一緒に首吊り坂屋敷に行き、大きなテルテル坊主を階段の途中にぶら下げる。
夜にアベックが来て、屋敷の一階で「のっぺらぼーだああ」と叫んで逃げて行った。この時、サダキヨBはフクベエと一緒に物陰にいて様子を見ていた。
この後、屋敷の一階でフクベエは鏡に映る自分の顔がのっぺらぼうを見るが、その時サダキヨBはフクベエの横にいた。
ケンヂとオッチョは首吊り坂屋敷の二階に行き、〔本物の幽霊〕を見た。この〔本物の幽霊〕は、先述のように、鏡に映ったのっぺらぼうである。そして、この時、サダキヨBは二階から一階に降りる階段の途中にいた。
首吊り坂屋敷でのっぺらぼうが鏡に映る時はいつもサダキヨBが近くにいる。サダキヨBはのっぺらぼうに深く関係している。
このように、サダキヨB=カツマタ=ともだちBは、フクベエ、ケンヂ、そして のっぺらぼうそのものに関係深い。そこで、
〔のっぺらぼうを映し出したのはサダキヨB=カツマタ=ともだちBではないか〕という見解が浮上する。
そして、謎14に述べたように、カツマタ=サダキヨBは、〔他人の顔・体形・声になれる〕という超能力を持つ。そのように、〔顔の変異に関する超能力〕を持つカツマタ=サダキヨBなら、〔鏡に映る他人の顔をのっぺらぼうに変える〕という超能力を持っていても不思議はない。
そこで私は、
鏡などに映る顔をのっぺらぼうにしたのはカツマタ=サダキヨBである
と判断する。
カツマタ=バッヂ反陽子仮面=サダキヨB=ともだちB=世界大統領は、〔死んでよみがえる〕超能力(謎6参照)、予知超能力(謎14参照)、変面超能力(謎14参照)の他に、〔鏡に映る顔をのっぺらぼうに変える〕という超能力をも持っていたのである。
鏡などにのっぺらぼうが映るという謎はこれで大半は解けたのだが、まだ解けないままの部分がある。それは、〔フクベエがガラス戸に映るのっぺらぼうを見た時にはサダキヨBは近くにいなかった。それなのに、なぜ、のっぺらぼうが映ったのか〕ということである。これについては謎16で述べよう。
*** 16巻第5話88ページで、ナショナルキッドの仮面を着けたサダキヨB=カツマタは、屋敷の二階で突然、「わああ!!」「うわあ うわっうわっ わあ うわあああ」と驚き、「のっぺらぼうだあ〜〜〜〜〜〜〜〜」と叫んで逃げて行く場面がある。この場面については、吟味すべきことがある。ただ、その内容は本論から少し離れるので、「注」の欄で述べることにする。 注記へ

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