
謎6「〔死んでよみがえる〕のは誰か!?」
“しんよげんの書”には“かれはいちどしんでよみがえるだろう”と記されている
16巻第6話106ページには、フクベエのことばとして、こう書かれている。「“しんよげんの書”に出てたろ。」「“かれはいちどしんでよみがえるだろう”。」
本作では、“しんよげんの書”および“よげんの書”の予言は実現する(ただし、末尾に記された世界滅亡・地球爆発は実現しないが、それには理由がある。そのことについて後述する)。だから、“かれはいちどしんでよみがえるだろう”という予言も実現したはずである。
では、誰が〔死んでよみがえる〕を実現したのか。
フクベエは〔死んでよみがえる〕ことはできなかった
フクベエは、〔死んでよみがえる〕のは自分のことだと思い、この予言を実現しようとした。その事件の内容は、14巻第6〜9話などに描かれている。
1971年八月三十一日、フクベエは理科室でロープに首を巻き付けて、一旦は〔死んてよみがえる〕という予言を成就したかのように見せかけた。
だが、フクベエは結局は〔死んでよみがえる〕ことに失敗した。
16巻第6話を見よう。フクベエ言う、「そろそろ下に降ろして………」 その時、「ミシ」と音がして、フクベエの体がガクンと下がる。
フクベエ言う、「しまった… 仕掛けがはずれ…… し…… 死ぬ……」
フクベエは、〔仕掛け〕を使って、自分の身の安全を保ちつつ、〔首を吊って死んだ〕ように見せかけ、その後に、目を開いて、〔一度死んで生き返った〕ように見せかけようとした。これは、フクベエみずからが言うとおり、〔仕掛け〕をしてのことである。だが、その〔仕掛けがはずれ〕て、フクベエは死にそうになった。
フクベエは“しんよげんの書”の予言“かれはいちどしんでよみがえるだろう”を実現できなかったのである。
世界大統領になる人は〔死んでよみがえる〕
では、誰が〔死んでよみがえる〕を実現したのか。
“しんよげんの書”には“かれはいちどしんでよみがえるだろう”と記されているが、また、「せかいだいとうりょうがたんじょうするだろう。」(9巻第7話)とも記されている。これら二つの文を読み合わせれば、“しんよげんの書”の「かれ」とは「せかいだいとうりょう」になる人物だということがわかる。すなわち、〔世界大統領になる人物は、死んでもまたよみがえることができる〕ということである。
もちろん、実際には人間が〔死んでよみがえる〕ことはできない。〔一時的に心肺停止に陥り、他人による蘇生措置によって息を吹き返す〕ことはあるが、〔自分の意志で、心肺停止になったり、蘇生したりする〕ことはできない。
だが、本作では、超能力者も現れる。
22巻第12話217ページによれば、カンナは、巨大なロボットを見て、人形・書籍・時計・レコードその他さまざまなものを宙に浮かす。このことからして、〔カンナは超能力を持っている〕と判断せざるをえない。
カンナに超能力があるとなれば、世界大統領に〔自分の意志で、心肺停止になったり、蘇生したりできる〕という超能力があってもよい。“しんよげんの書”のいうとおり、世界大統領は〔死んでよみがえる〕ことができるとしてよい。
ドンキー殺しの男は世界大統領と同一人物なので〔死んでよみがえる〕ことができた
私は、謎5で、〔世界大統領=ともだちBは、ドンキー殺しの男と同一人物である〕と述べた。だが、本作の表面上の展開では、ドンキー殺しの男はケンヂに「地球を…… 救え……」と言った直後、死んだことになっている。死んだら世界大統領にはなれない。それなのに、死んだはずのドンキー殺しの男が、その後、ともだちBとして活躍し、世界大統領になっている。
なぜそんなことが可能になるのか。
ドンキー殺しの男は世界大統領と同一人物であり、世界大統領は〔死んでよみがえる〕ことができる。だから、ドンキー殺しの男は〔死んでよみがえり〕、その後、ともだちBとして活躍し、世界大統領になったのである。
私はこれまでの論述で、ともだちBの輪郭を徐々に描いてきたのだが、その正体を明示するためには解決しておかねばならない問題がある。
私は、謎1で〔サダキヨの顔をした少年は2人いる〕と述べた。サダキヨ本人すなわちサダキヨAの他に、〔サダキヨそっくりの少年〕すなわちサダキヨBが存在するのである。このサダキヨBとは何者か。
これはともだちBの正体に直結する重大な問題である。この問題について謎7以下で述べていこう。

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